私たちはどのように会話している?日本語と他言語のディスコース分析を通して

英語担当:町沙恵子准教授

2026/01/26

研究紹介

OVERVIEW

立教大学外国語教育研究センター町沙恵子准教授(英語担当)にご自身の研究内容や今後の抱負等についてお聞きしました。

先生の研究テーマや、現在取り組まれている研究についてお聞かせください。

専門は言語学の中でも語用論や相互行為のディスコース分析です。具体的には、日本語と他言語の実際の相互行為を分析し、各言語の話者がどのように会話を展開するのか、そしてそのスタイルの違いはどこから来るのか、といったことを研究しています。多くの日本人学習者が、「外国語をうまく話すためには文法や発音が大事!」と考えています。もちろんそれも重要ですが、実は、会話内でどのように話者が交代するのか、自分のターンのときに何をどの程度話すのか、相手が話している際にどのように反応をしたり質問をしたりするのか、といった会話運用のスタイルが言語ごとに異なります。それらを研究することで、異文化間の相互理解や外国語学習に貢献したいと考えています。日本語母語話者として、日本語会話のスタイルやコミュニケーションに対する考え方を世界に発信することも、自分の研究者としてのミッションと考えています。

第19回国際語用論学会(International Pragmatics Conference)、オーストラリア、ブリスベンにて

大学院時代より携わっている研究プロジェクトでJohn BenjaminsのCulture and Language Useシリーズより本を出版しました。(8章を執筆)

ご自身の研究に興味を持ったきっかけについてお聞かせください。

私が最も関心を持って研究しているのが、日本語話者が頻繁に行う「相手の発話を繰り返す」行為です。英語ではcross-speaker repetitionといいます。この現象に関心を持ったのは、大学院時代に電車内で近くにいた女性たちの会話を耳にした時でした。二人の女性が、「信じられないー!」「信じられないよねー!」などとお互いのことばをしきりに繰り返しながら、おしゃべりに興じている様子を見て、相手のことばを繰り返すという行為には会話を協調的に展開したり、話者間の一体感を構築するといったとても重要な役割があると気が付きました。誰かが面白い発言をした時にも、私たちはそのことばをまず繰り返して面白さを味わうこともあります。とても興味深く、また奥深い現象であり、大学院時代から今に至るまで、様々なデータを分析しながら研究を続けています。

ご自身の研究の面白さ・醍醐味はどのような点にあるとお考えでしょうか。

ことばは常に私たちのまわりにあるもので、普段はなにも意識せずに使っています。しかし、少し立ち止まってじっくり分析してみると、その背後には会話を運用するためのルールがあったり、ちょっとした仕草やことばの使い分けが話し手と聞き手の関係に影響を与えたりと、興味深い発見がたくさんあります。誰にとっても身近なものだからこそ、研究する意義があると感じています。また私たちが普段日本語でどのように話しているか、日本語はどのような言語なのか、といったことを理解することは、学習している外国語の特徴を客観的に捉えることにも有効です。

学生時代(大学や大学院、海外留学など)の経験や学んだことについてお聞かせください

大学院時代に二度、研究のためにアフリカ大陸のリビアという国に出張したことが、私の研究者としての大切な財産の一つです。現地の教員・院生・学生とアラビア語の言語データを収集したり、お互いの研究成果を発表したりしました。言語も宗教も生活様式も全く異なる環境に入り、現地の人々と交流した二週間は刺激的な経験の連続で、「世界は広く、多様性に満ちている」ということを肌で感じました。それと同時に、母語の異なる彼らと私が、英語という共通の言語を話すことで繋がれたことを実感し、とても嬉しく思いました。「英語を学習してきてよかった!」と心から感じた瞬間でした。アラビア語も勉強したのですが、難解でギブアップしてしまいました。また挑戦したいです!

リビアの世界遺産、レプティス・マグナにて

リビアのセバ大学にて

現在の大学でのお仕事について。内容や、楽しいところ、大変なところを教えてください。

「なぜ外国語を学ぶのか?」の講義の様子

英語の必修科目・自由科目に加えて、2025年度から全カリ総合科目の「なぜ外国語を学ぶのか?ー複言語・複文化主義入門」を担当しています。講義に加え、大勢の学生と言語や文化に関するディスカッションを毎週行い、外国語を学習する意義は何か、どのようなことが難しいか、日本語と外国語はどのように違うのか、といったテーマの理解を深めています。学生と一緒に実際の会話データの分析(ディスコース分析)を行うプロジェクトも実施しました。学生たちが「日本語ってこんな言語なんだ!」「日頃は全然気づかないけれど、実は自分たちは会話内でこんなことをしてたんだ!」「日本語って奥深い!」という気付きを得てくれるととても嬉しくなります。学生が毎週書いてくれるリアクションペーパーから私が学ぶことも多々あり、大好きな科目です。

ご自身の今後の抱負や夢、研究計画についてお聞かせください。

研究面では引き続き日本語と他言語の相互行為を様々な角度から分析して、各言語の性質や、言語と文化の関係性を追究していきたいです。また得られた研究成果を授業を通して学生と共有し、学生が言語、文化、アイデンティティーについて深く考え、外国語学習に主体的に取り組めるような授業を展開していきたいです。

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