高等教育機関における言語教育の未来—CEFR-Jの開発と多言語への応用

開催報告(2024年7月31日開催)シンポジウム企画・司会・報告  三浦愛香教授(外国語教育研究センター 英語)

2024/10/23

シンポジウム

OVERVIEW

立教学院創立150周年記念・外国語教育研究センター開設5周年記念
立教大学外国語教育研究センター公開シンポジウム
「高等教育機関における言語教育の未来—CEFR-Jの開発と多言語への応用」

はじめに

立教学院は、2024年度に創立150周年を迎えます。そして、全学の外国語教育を担う組織である立教大学外国語教育研究センター(Center for Foreign Language Education and Research、以下FLER)は、2020年4月に開設され、2024年度は、開設から5年目を迎えます。また、コロナ禍という未曽有の期間を経て、英語以外の必修選択言語(ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・朝鮮語・ロシア語)の新カリキュラムが2024年度より始動しました。新カリキュラムは、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を共通の指針として、6言語協働で設計されています。

この記念すべき年の2024年7月31日に、立教大学FLERでは、「高等教育機関における言語教育の未来—CEFR-Jの開発と多言語への応用」と題したシンポジウムを本学池袋キャンパス太刀川記念館にて開催しました。本シンポジウムでは、国内最大規模の専攻言語を配し国内外の外国語教育を牽引されてきた東京外国語大学の諸先生方をご登壇者としてお迎えしました。また、東京外国語大学の先生方と立教大学FLERで諸言語を担当する教員のディスカッションの機会を持ちました。当日は、シンポジウムを対面で開催すると同時に、その様子をZoomウェビナーでもオンライン配信し、学内外より数多くの方々にご参加いただき(対面会場で約20名およびオンラインにて75名の方)盛況に終わることができました。

シンポジウム開催の背景と目的

本シンポジウムにご登壇いただいた東京外国語大学の投野由紀夫教授と根岸雅史特任教授は、これまでおよそ20年にわたって、CEFRを日本の英語教育のコンテクストに応用したCEFR-Jの開発と実践を牽引されており、CEFR-Jの取り組みは、小学校・中学校・高等学校・大学等の各種教育機関における教育研究だけでなく、商用にも幅広く活用され、さらにはCEFRやEnglish Profileにもその研究成果が取り入れられる等、そのご功績は国内外に大きなインパクトを与えています。そして、英語教育だけにとどまらず、東京外国語大学における28言語の教育にも応用され、「CEFR-J x 28プロジェクト」として発展を遂げています。一方、立教大学では、文系・理系といった学問分野の枠組みにとらわれないリベラルアーツ教育を推進し、複言語・複文化主義を掲げた外国語教育を推進しています。そして、外国語に関する専門学部を有しないにも関わらず、英語と英語以外の6言語の外国語が必修科目として設置されている数少ない私立大学でもあります。また、前述のように、複言語・複文化主義の理念のもと、CEFRの共通参照レベルに準拠して、6言語に及ぶ言語体系の異なるヨーロッパ言語とアジア言語のすり合わせを行い、新カリキュラムを開発してまいりました。

国内外における外国語教育を牽引する東京外国語大学、そして幅広い分野の学部を配したリベラルアーツ教育を展開する立教大学、この2つの大学における外国語教育の教育的コンテクストは異なります。本シンポジウムは、それぞれの大学での言語教育研究に携わる教員が、統一的な枠組みを柱とした多言語の学習・教育・評価の実践について成果と課題を共有することで、高等教育機関における言語教育の未来を見据える場を会場の皆様にもご提供することを目的として実施されました。

シンポジウム:オープニング

佐々木正徳教授

関未玲教授

まずは、立教大学FLERセンター長である朝鮮語の佐々木正徳教授による開会の辞で幕を開け、その後、フランス語の関未玲教授が、英語以外の諸言語の外国語教育のリーダーとして、新カリキュラムの開発と経緯について報告いたしました。報告の一つとして、定員40名の1年次必修科目にて、1年間にCEFR A2レベルに到達することを、各言語共通の学習目標に掲げ、全言語で確認した評価基準に合わせてテキストおよびそれに基づいた統一テストを作成・実施した取り組みと経緯についてご紹介しました。(以下のリンクを参照)

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